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設置の初期投資ばかりではなく、施設維持の運営費にも補助金を給付している点である。さらに、この補助金給付の対象は、例えば、青少年援助の場合青少年援助団体の認可制度があるもの、原則的には登記社団ないし非登記社団として成立した公益法人であり、補助金支給と公益法人認可は、手続として相互に関連性はない。

 

4. 市民セクター社会福祉活動の実例

 

第2節で概観した公益法人としての制度に基づいて、第3節で例示した行政機関からの補助金を活用しながら、社会福祉分野での公益法人はどのような活動を展開しているのか、この点を入手可能な資料の枠内で、幾つかの実例をもって示してみたい。ここでは、まず第3節の論述と出来るだけ関連付ける目的で、ドイツ同権奉仕会とりわけノルトライン・ヴェストファーレン州の例を挙げ、さらに公益法人の全国組織の概観を得るために、ドイツ赤十字杜を採り上げたい。

 

(1) ドイツ同権奉仕会・ノルトライン・ヴェストファーレン州
(a) 州本部の活動39)
ノルトライン・ヴェストファーレン州本部は、ヴッパータールにあり、15人からなる理事会の下、20名程度の専従職員で運営されている。同権奉仕会の州本部活動の主たる部分は、各支部に配分するための資金調達、支部メンバー組織の相互協力と情報交換促進、そして支部メンバー組織に対する研修であると考えられる。同州本部について入手した資料では、財政に関して一括した表が提示されていないため、1年間の総歳入が把握出来ないが、主な収入源としては、州政府からの補助金、各種団体からの貸付金・補助金、個人・団体の寄付に基づく自己資産運用収入、各種事業等その他の収入、少なくとも4種類の費目が区別出来る。州政府から約290万マルク、各種団体から約2300万マルク、自己資金運用が約70万マルク、その他で約120万マルクであり、これらを合計する。約2800万マルクとなる、このうち州からの補助金が占める割合は10%強であり、収入の主要部分が、各種団体からの貸付金・補助金である事がわかる。このうち約1400万マルクを拠出しているのが民間のノルトライン・ヴェストファーレン社会福祉財団である。
支部組織メンバー間の相互協力と情報交換のために、54人の支部長全員からなる支部長会議が定期的に開催されるのを初めとして、活動分野毎の作業部会が38設置され、例えば

 

 

 

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